陸海空3自衛隊の部隊運用を一元化して、テロや災害など多様な事態に迅速対
応する「統合運用」が27日始まり、制服組の首脳として運用を指揮する初代
統合幕僚長(統幕長)、先崎一陸将の着任式が防衛庁で行われた。統合運用
は昨年7月成立の改正防衛庁設置法に基づき、統合幕僚会議議長(統幕議長)
が統幕長に衣替えした。先崎陸将は最後の統幕議長。従来は3自衛隊の各幕僚
長が個別に防衛庁長官を補佐したが、統合幕僚監部が新設され、統幕長が一元
的に補佐する。陸海空と海兵隊の4軍を1人の指揮官が統括する米軍などがモ
デルで、米軍との共同作戦の円滑化の目的もある。

 

自衛隊が縦割りの運用で陸海空が一元化されていない弊害は、実際に有事が起
きてからでは遅く、一刻も早い統合運用が望まれていた。旧軍が陸海との一体
運用に欠いただけでなく、極端に縄張り意識が強かったために同じ軍であるの
にまるで敵同士のような笑えない事態に陥っていたのである。陸海空それぞれ
に長所があり、組み合わせ次第でより大きな力を発揮するのは素人が見ても明
らかであるから、この時代になってもまだ統合運用が出来ていなかったのかと
首を傾げてしまう。やはり望ましいのは、有事の際に自衛隊の活動を妨げない
ための法整備である。第一線で戦うのは彼等であり、法解釈で躊躇している間
に部隊が壊滅しては元も子もない。

 

まだまだ手探りの中で、実際に統合運用出来る人材の育成もそうであろうし、
モデルとした米軍から学ぶことも多いだろう。とかく縦割りの組織で難しい情
報の共有が計れてこそ真価を発揮出来る。統幕長がただのお飾りでないことを
証明するためにも、運用の仕方を研究していって欲しいものだ。テロや災害が
起きた際に(起きないに越した事は無いが)右往左往する自衛隊では何よりも
国民の信頼を損ねることになる、それだけは避けねばならないだろう。