中国の胡錦濤国家主席が31日の日中友好七団体幹部との会談で、日中関係
障害として改めて、小泉純一郎首相らの靖国神社参拝問題を指摘したのは、今
秋にも誕生する日本の次期首相を牽制する狙いといえよう。靖国神社参拝問題
は、中国の内政問題化しており、参拝が続く限り首脳会談などはできない「苦
しい内情」への理解を求めたものと、日中関係筋は受け止めている。胡主席
会談の中で、「私は一貫して日中関係を最も重要な二国間関係として発展に努
力してきた」と述べた。これは2003年の主席就任後、江沢民前主席時代の
感情的な反日姿勢と一線を画し、国際会議の場での日中首脳会談でも04年1
1月までは靖国神社問題に直接言及しなかったことにも表れている。

 

中国は小泉首相靖国神社参拝をやめないとみるや、早くもポスト小泉への牽
制球を投げてきているが、受け止めることなく受け流しておけば良いだろう。
神社の参拝が外交の焦点となるなど有り得ない話であり、裏を返せば首脳会談
を早いところやりたいと言ったところか。会談の中で胡主席は「中国は発展途
上国であり、過去も未来も覇権主義をとるつもりはない」と強調、「そもそも
他国を武力で威圧する意思はない。中国がより前進できるよう力を貸してほし
い」と述べたらしいが、いったいどの口が言うのだろうか。威圧する意思がな
いのであれば軍備を拡張し続ける意図はいったい何か。明確な答えを出せるの
あれば聞きたいものだ。

 

歪な経済成長を続け、その一方では軍拡を続ける中国が発展途上国を名乗るの
であれば、内政をきちんと片付けてから国際社会に出てこいとしか言いようが
ないではないか。いますぐ有人宇宙飛行などはストップし、都市部との所得格
差が広がり続ける農村部の惨状を何とかすべきであろう。五輪や万博で国威を
高めるのも結構だが、その利益を享受出来ない大半の人民が忘れてはならない。
強硬な態度に出れば出るほど意固地になる、中国にとって今までのように強く
出れば引く首相が相手でないだけに、靖国問題は注文をつける中国にとっても
厄介な問題になったことは、我が国にとっても朗報ではなかろうか。