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谷垣禎一財務相は自民党総裁選について、7月上旬に予定される「骨太方針」
の閣議決定後に正式に出馬表明する意向を明らかにした。谷垣氏は「国会は閉
幕するが、歳出・歳入一体改革の中身はほとんどわたしの仕事なので、われ関
せずというわけにはいかない。これがある程度目鼻が付くというのが、自由に
ものを言える大前提ではないか」と語った。また、谷垣氏は、靖国神社とは別
に戦没者を慰霊する国立追悼施設を建設する構想について「直ちに否定しよう
とは思っていないが、歴史性、なじみがある。違和感はぬぐいきれない」と否
定的な認識を表明。自身が首相に就任した場合の靖国参拝に関しては「外国か
ら言われて判断すべきではない。一方で、対外関係も大切だ。どちらと言う必
要は毛頭ない」と態度を明確にしなかった。
財務相としての仕事を片付けてからの出馬表明は、それはそれで結構なことだ。
麻生外相が出馬表明をし、安倍官房長官も事実上の出馬表明を済ましている。
残るは福田康夫氏が手を挙げるか挙げないかに嫌でも注目が集まるのだが、こ
の4候補では、福田氏以外は国立追悼施設の建設には否定的な見方をしている
と考えて良いだろう。小泉首相としてもポスト小泉は自らの改革路線の継続を
望んでいるはずだが、その中には靖国神社の参拝も当然絡んでくる。反小泉の
拠り所とするのは、中韓がいちゃもんをつけてくる靖国神社の参拝であり、本
来内政問題であるはずなのに、それをさも外交に絡めて参拝しないことが良い
ことであるかのように発言するのは問題であろう。アジア外交を重視するのは
結構としても、それと靖国神社の参拝は切り離すべきだ。
中韓が靖国神社の参拝をするなと明言している以上、参拝をしないことは自動
的に外圧に屈したとの印象しか残さない。対外関係を考慮するのは結構だが、
戦没者の慰霊の場はあくまで靖国神社であると、ポスト小泉ははっきりと自分
の言葉で語るべきだ。とってつけたような国立追悼施設の建設には断固として
反対する、仮に靖国神社の参拝が争点となるならそれは必須であろう。