中国外務省は29日、胡錦濤国家主席が5月6日から5日間の日程で日本
を訪問すると発表した。天皇陛下福田首相のほか、衆参両院議長と会談
する予定。国家主席の訪日は98年の江沢民氏以来約10年ぶり。外交筋
によると、両国政府は当時まとめた日中共同宣言以来となる「第4の政治
文書」を作成する方向で、担当者が検討を進めているという。両国間の懸
案である東シナ海ガス田の共同開発問題については、日本側は胡主席訪日
までの合意を目指しているが、中国側は「訪日とガス田問題の解決を結び
つけない」との態度を崩しておらず、具体的な開発の地域をめぐって双方
の意見の隔たりは依然として大きい。未解決のままとなっている中国製冷
凍ギョーザによる中毒事件については、両国の警察当局の見解が対立して
滞っていた原因解明をどのように進展させていくかについて話し合われる
見通し。

 

10年ぶりとなる中国の国家主席の訪日。日中間にはガス田問題や、我が
国でもすっかり忘れ去られた感のある中国製冷凍餃子の中毒事件、そして
尖閣諸島の領有権であるとか多くの懸案事項が存在する。10年ぶりと言
う訪日をただのセレモニーで終わらせては意味が無く、親中派とされる福
田首相がどのような姿勢を見せるのか注目せねばなるまい。胡錦濤国家主
席来日に備えた日中外相会談で、チベット問題について情報開示や対話の
重要性を説く高村外相に対して、中国外相は「それ以上言うと内政干渉
なりますよ」と色をなしたとされる。日中関係は経済の面だけを見ても、
もはや切っても切れない関係が構築されており、例え外交関係が冷え込も
うとも、すぐさま揺れ動くような脆弱なものではない。世界中がチベット
問題を取り上げる中で、隣国の我が国がこれを看過しては、民主主義国の
沽券にも関わる話だ。耳の痛い話をしてあげるのも、また真の意味での友
好関係であろう。