民主党小沢一郎代表代行は8日、米国との自由貿易協定をめぐる党衆院
マニフェストの記述について、「農家には戸別所得補償制度の導入を提
案しており、食料自給体制の確立と自由貿易は何も矛盾しない」と述べ、
鳩山由紀夫代表が文言の修正を決めたことに異議を唱えた。民主党は7月
27日にマニフェストを発表後、さまざまな項目を修正。鳩山氏も発言を
次々に変えており、「ブレる」批判は今後ますます強まりそうだ。小沢氏
は鹿児島県肝付町で記者団に「農産物の価格が下がっても所得補償制度で
農家には生産費との差額が支払われる」と強調。農業団体の反発も「農協
が一方的にわいわい言っているケースもある。ためにする議論でしかない」
と切り捨てた。民主党は元々、FTA締結と戸別所得補償をセットにして
農業政策を詰めてきた経緯がある。小沢氏はFTAを後退させれば目玉政
策である戸別所得補償も修正を迫られる懸念があると判断したとみられる。

 

民主党マニフェストは批判を受けるたびに修正を迫られ、鳩山代表が正
式なものではないとまで言い放ち、有権者の失笑を買っている。これまで
麻生首相をブレると批判していた中で、首相の座を目の前にして鳩山代表
は早くもブレが目立ち始めている。そんな姿勢に業を煮やしたのか、小沢
代表代行が米国とのFTA締結の記述が農業団体の反発を受けて後退した
ことに対し、修正の必要は無いと鳩山代表を突き上げた。2年前の参院選
で、農家の戸別所得補償制度の導入を目玉にし、これまで自民党の支持基
盤であった農村部を民主党に引き寄せることに成功している。それを今さ
ら修正するわけにもいかず、異議を唱えたのだろう。政権交代確実と言わ
れる中で、早くも民主党執行部の思惑が複雑に絡み合っているように見え
てくる。鳩山代表は小沢代表代行の傀儡とまで揶揄されたが、この突き上
げにどう反応するのか。そう言った意味でも注目が集まることだろう。