野田財務相は25日午前、記者団に対し、急激な円高が進んでいることにつ
いて、「必要な時には適切な対応を取らなければいけない」と述べ、政府・
日銀が円売り・ドル買いの市場介入に踏み切る可能性を示唆した。今回の円
高局面で、介入の可能性について言及したのは初めてだ。一方、日本銀行
同日、追加金融緩和の検討に入った。一時1ドル=83円台前半まで進んだ
急激な円高が、日本経済に与える悪影響について、政府・日銀とも危機感を
強めており、急激な円高阻止に向け、対応を加速する方針だ。野田財務相
24日の会見で市場介入について「コメントしない」と述べるなど、介入に
ついて明言を避けてきた。しかし、市場に「政府は思い切った対策を取らな
い」との見方が強まり、逆に円高を加速させる結果となった。このため市場
介入の可能性を強く示唆することで市場の動きをけん制し、急激な円高に歯
止めをかける狙いがある。

 

円高の原因について「ヨーロッパもアメリカも実体経済に対する不安心理が
ユーロ安、ドル安という形になり、結果として円高傾向になっている」と言
われるものの、つまり消去法的に円が選ばれているに過ぎないことを意味し
ている。ここまで急激に円高が進んだことで、輸出関連株を中心に続落し、
日経平均株価は一時、前日終値比で106円安の8888円と2日連続で年
初来安値を更新することとなった。これでは景気回復は遠のくばかりで、む
しろ悪化する可能性の方が高くなってきたのではないか。昨日、緊急で記者
会見を開いた野田財務相は、進行する円高の対応策は、「市場の動向には重
大な関心を持って極めて注意深く見守っていきたい」と何ら具体的に示さず、
かえって我が国政府が円高で構わないとのメッセージを発した形になってし
まっている。むろん、円高にプラスのメリットはあるのだろうが、今の我が
国おいてはマイナスとなることの方がはるかに多そうだ。菅首相は代表選に
かまけず、現実と向き合うべきだろう。