全日とノア、いずれも絶対的な王者が時を重ねるように倒れた。
それは旧全日時代に四天王と呼ばれた川田利明小橋建太の両者である。全日
分裂後に袂を分かった彼等は、それぞれの団体で怪我に苦しみながらも王者へ
の道を歩み、幾多の挑戦者を退けてきた。

 

彼等を倒したのは、小島聡力皇猛。いずれもシングルプレーヤーというより
はタッグでの印象が強く、頂点に立つイメージを周囲に描かせることがなかな
か出来なかった。如何に世代交代を叫ぼうとも、乗り越えるべきハードルは高
く、そしてとにかく強い存在として君臨していた。だが、若手でもなくベテラ
ンという年齢でもなく、二番手でしかなかった挑戦者が現実にトップになった
のだ。誰もが「フロック」でないと認めるであろう。

 

強さの歪みか、時代の流れか、おそらく王座の移動は川田・小橋の君臨した時
代より活発になることだろう。小島にIWGPを奪われた天山広吉については
何も言うことはない・・・時代はより混沌としていくに違いない。(9に続く)