人事院は25日、2004年の「営利企業への就職の承認に関する年次報告」(天
下り白書)を国会と内閣に提出した。これによると、人事院の承認を受け、出身省
庁と関係のある民間企業に再就職した本省課長級以上の国家公務員は86人で、前
年より12人増加した。うち本省課長以上と管区機関の長の「幹部職員」は26人
だった、とのこと。

 

国家公務員は、退職前5年間に在籍していた省庁と密接な関係にある企業へは退職
後2年は再就職できないのが原則であるものの、人事院の承認を得れば可能になる。
どういったケースで承認しているのか疑問が残る。特に天下りの経緯は「官のあっ
せん、仲介など」が50・0%にも上り、要は密接な企業であるが故に天下りを受
け入れざるをえないのだと考えるのが普通である。

 

表題にある「営利企業」とは国家公務員の「営利(天下り)」という意味と勘ぐられ
ても仕方あるまい。官と民の距離は天下りを受け入れることで縮まるものではなく、
官の既得権益を是正することから始まる。官にも民の血を入れる「天上り」という
名の交流を促進すべきではないか。中高年の職の世話をする天下りと違い、若手と
呼ばれる層を派遣することが血をより良く循環出来るのではなかろうか。