NHKのテレビ番組「プロジェクトX」で取り上げられた大阪府立淀川工業高
校が、「番組内容の一部が事実と異なる」として、NHKに謝罪や再放送の取
りやめなどを申し入れていたことが分かった。NHKは番組内容を紹介するホ
ームページからこの回の分を削除した。

 

79年に赴任した新人教師が同高に合唱部をつくり、全国コンクールで金賞を
受賞するまでの日々を追った内容であったが、毎年80人もの退学者を出すな
ど同高が荒れに荒れまくっていたという点に学校側・卒業生から「そこまでの
事実はない」と申し入れがあったようだ。要は過剰演出である、とのご指摘な
のであろう。確かにこの手の話はギャップがあった方がより面白みが増すわけ
で、「表現」が行き過ぎてしまったのだと思われる。

 

前々から指摘されてきたように、この「プロジェクトX」は企業宣伝の片棒を
担いできたわけであるが、その演出には番組で取り上げられた企業でも「?」
と思ってしまう場面が多々ある。演出が命だけに、ついつい話を膨らませてし
まうのは分からないではないが、事実でなければただのでっち上げでしかない。

 

番組ホームページによれば、『プロジェクトXは、熱い情熱を抱き、使命感に
燃えて、戦後の画期的な事業を実現させてきた「無名の日本人」を主人公とす
る「組織と群像の知られざる物語」である。』とあるが、主人公が「知らない」
物語を勝手に創作しては仕方あるまいて。