ロシア外交誌メジドナロドナヤ・ジーズニ最新号は、1945年の旧ソ連軍に
よる北方領土占領を日本軍国主義の侵略行為の帰結と位置づけ、日中、日韓関
係を先鋭化させた「日本の歴史認識の誤り」を論拠に、北方4島返還を拒絶す
る内容のガルージン駐日公使の論文を掲載した。同誌編集陣にはラブロフ外相、
イワノフ安全保障会議書記らが名を連ね、論文は事実上プーチン政権の見解と
みられる。

 

我が国の領土問題の中で最も力が注がれてきた北方領土においても、占拠して
いるロシア側の態度はこの程度のものだ。しかし歴史認識の誤りとはどういう
ことなのだろうか。一方的に日ソ中立条約を破棄したのはソ連であり、ポツダ
ム宣言を受け入れ武装解除を進めていた中、いわゆる北方領土に雪崩れ込み火
事場泥棒の如く所業を行ったのは紛れも無い事実ではないか。そこに認識がど
うのこうのと言う余地は無い。

 

サンフランシスコ講和条約で我が国はポーツマス条約の結果、獲得した南樺太
及びこれに「近接」する諸島を放棄したことになっているが、この近接する諸
島が何処に帰属するなど明記されてはいない。つまり当時のソ連が、これを実
効支配していただけに過ぎないわけで、さらに言えばサンフランシスコ講和条
約にソ連は調印すらしていない。ソ連との国交正常化の交渉過程で、いわゆる
北方領土の帰属が平和条約の締結によって解決されるという事実上の棚上げに
よって、今に至るのである。

 

この論文は我が国の軍国主義の侵略行為があったから、それに対する代償とし
ていわゆる北方領土を返還しないのだと位置付けているが、何ともまぁ居直り
強盗とは恐ろしいものだ。人の悪事を論ったところで、自らの行いを正当化出
来るとでもお思いなのだろうか。このような論文を発表することで、恥をかく
のは貴国であることをお忘れなく。だが、恥をかくだけで済むならそれはそれ
で得なのかもしれないが・・・
【外務省 われらの北方領土】