生まれも育ちも今住んでいる場所と変わらないので、今日の都議選の投票場所
は大昔通学していた小学校の体育館が会場である。歩いても10分かからない
程度の場所であるが、あの頃は寄り道やらしていたお陰で、それよりもずっと
時間がかかっていた気がする。あれから随分と時間が経ったものだと、風景の
変化と共に思うのである。

 

小学校にも生徒会選挙なる、正に子供の真似事のような制度があったものだが、
生徒会長・副会長・書記だったか、一応の体裁は整えてあるのが微笑ましいと
ころである。とかく投票するのも子供故に、候補者以外の氏名が大量に書かれ
るなど、まぁ律儀に何票入ったか公表されるので「ネタ」としては良いのだが
書かれた方は良い面の皮である。

 

俺が5年だか6年の時に、どちらかと言えば「悪」であった子が生徒会長に立
候補し、クラス中を驚かせたものだ。投票前の立会演説会で、自ら書いてきた
原稿を延々と読み、普段の姿とのギャップをまざまざと見せ付けた。結果は言
わずもがな、彼の圧勝であった。その後、彼が生徒会で特別何かをしたわけで
はないし、形式だけの生徒会である以上はそれを望むことの方が愚かなことで
あるかもしれない。

 

だが、それは決して虚しいものではなかった。あの時、演壇で堂々と原稿を読
む姿は、あの時立ち会った学友には少しは記憶に残っているのだと思えば、そ
れなりのことなのではなかろうか。