「ここからは出てゆかない」−。ロシア紙イズベスチヤは一日、こんな見出し
で、北方領土を視察したイワノフ国防相同行ルポを掲載し、択捉島駐留ロシア
軍の施設や待遇が、この3年間で大幅に改善されたと伝えた。それによると、
択捉島では、イワノフ国防相の訪問を前に、新しい「将校クラブ」が開館。同
防相は、さらに同島の軍人の待遇改善や、インフラ(社会基盤)整備を行う
ことを約束した。

 

同紙の記者は、旧日本軍が建設した同島唯一の古びたブレベスニク飛行場に到
着し、軍用トラック「カマズ」で近くの軍事基地まで一時間かけて到着。「島
には舗装道路はなく、身の丈の半分ほどの直径のタイヤを履いたトラックがも
っとも信頼できる交通手段だ」と強調した。ルポは、記者が島の軍人に「敵は
誰なのか」と聞くと、無言のまま日本の方角を向いたと伝えている。

 

イズベスチヤは発行部数23万部のロシアの日刊有力紙であったが、政府系メ
ディアグループ「ガスプロム・メディア」に6月、買収され事実上国営メディ
アとなっており、ロシア政府の意向を伝えていると言っても良さそうだ。この
3年間に大幅に改善された言うが、これまで放っておいたものを今になって整
備してくるあたりに、北方領土が改めてロシア領なのだと示したつもりなのだ
ろうか。「敵は誰なのか」という質問も実に恣意的である。

 

まったく竹島尖閣諸島に目を向けていると、北方領土がキナ臭くなってくる
あたり、ロシアは相変わらずな国家である。なぜ老朽化した原潜の解体を援助
してやったりしなければならないのか、60年前に一方的に中立条約を破棄し
雪崩れ込んできたソ連軍を思い出さずにはいられない。泥棒は獄に繋がなくて
は一生泥棒のままらしいな・・・