個人情報保護法が保護法ならぬ過保護法になりかけている。4月から全面施行
されたこの法律を何か勘違いしているような運用があちこちで目立つ。お役人
天下り先を公表しなかったり、懲戒免職処分の教職員を匿名で発表したり、
これらをまともな情報保護と言えるのか。また、用心が必要以上に見える例も
多い。学校でクラス全体の緊急連絡網の名簿を作らなかったり、卒業アルバム
に住所、電話番号を掲載しなかったり…
【8月3日付よみうり寸評より抜粋】

 

読売の夕刊にしては久々にまともなコラムを書いてきたので取り上げておく。
匿名にすべきではない、要は情報開示すべきことを隠すことは時代に逆行する
ことであり、そういった用途のために個人情報保護法が作られたわけではない。
個人情報だから全てを隠すことは、信用で成り立つ社会においてマイナス以外
の何ものでもないし、学校・クラスで何かあった場合に緊急連絡網がないよう
では、連絡のしようがない。生徒個人個人が携帯の電話帳にクラスメートの電
話番号を登録させることは不可能に近い。第一、連絡「網」が無ければ末端ま
で情報を伝えるのは無理である。

 

何が何でも守らねばならない情報と誰もが共有すべき情報の境界は、かなりは
っきりとしているはずであるが、「個人情報」という言葉を盾に自分の身を守
ろうとする輩が跋扈している。法律はそんな連中を守るためにあるのではない
が、法律に何でも縛られては、それはそれで窮屈そのものである。