民主党小沢一郎副代表は16日、党代表選への出馬を見送る意向を固めた。
これにより、17日の代表選は、既に出馬表明している前原誠司「次の内閣」
防衛担当と、菅直人・前代表の一騎打ちとなる構図が固まった。小沢氏は16
日昼、都内で同党の鳩山由紀夫元代表と会談し、代表選への対応を協議する
など、党内情勢を慎重に見極めながら、代表選への対応を検討してきた。鳩山
氏は16日朝、都内で記者団に「小泉首相を国会の党首討論で子供扱いしたの
は、小沢氏1人だ」と語り、小沢氏の出馬に期待を示していた。

 

しかし、前原氏と菅氏が相次いで出馬の意向を示す中、小沢氏は、自らへの支
持が予想よりも広まらない可能性があることに加え、党内の亀裂を避けるため、
出馬を見送ることにしたと見られる。民主党の混迷はここに極まったといった
ところであろう。いつの時代も世代交代は改革のキーワードと成り得るが、常
に世代間闘争を生み良い結果を生むことは無かった。ベテラン層に使われる若
手の構図も、若手層に突き上げられるベテランの構図も世代交代を目指す以上
乗り越えなくてはならないものだ。党の再建と言う至上命題がある中、この代
表選で新たな亀裂が出来るようでは、民主党の存在そのものが危うくなる。

 

真の二大政党制を標榜するのは結構だが、世代間の融合を果たさねば次の選挙
が行われるまで民主党はその間を持たせることは出来ないだろう。選挙がない
以上は政権交代は望めない。第一、ここまで党勢が後退してしまっては戦略の
練り直しから始めねばならず、新しい代表もまずは党内をまとめることに忙殺
され、しばらく民主党はニュースにもならない存在になってしまうだろう。と
かくメディア戦略では自民党小泉首相にしてやられた民主党としては、いか
にメディアを利用していくかを考えねば、同じ失敗を繰り返すだけである。実
は党内でも「日本を、あきらめない。」のスローガンは批判が多かったことも
それを顕著に示しているのではなかろうか。