島根県が設置した竹島問題研究会が10月25日、松江市内であり委員から、
韓国に残る古地図の現段階での分析結果を基に、同国が領有権を主張する竹島
は長年、位置すら正確に把握されず、朝鮮領との認識もなかったとする研究報
告が行われた。韓国側は、6世紀前半から自国領だった「于山島」が現在の竹
島と強調し、領有権の正当性を示す根拠としている。これに対し、同研究会の
委員を務める島根大学法文学部の舩杉力修助教授は、15世紀から20世紀初
めの韓国の古地図約60点を分析。17世紀までは、于山島を現在の竹島の北
西約90キロに位置する鬱陵島と同じ島にしたり、鬱陵島の西側の朝鮮半島
の間に描いているケースが多数あることが分かった。

 

さらに、18世紀以降になると、于山島を鬱陵島の東側に置いてはいるものの、
同島のすぐ近くに描いていることも確認。その結果、于山島は鬱陵島の東側約
2キロの地点にある現在の竹嶼(ちくしょ、韓国名・竹島)と考えるのが妥当
とした。にもかかわらず、于山島が現在の竹島と理解されている背景には、1
7世紀後半に日本に密航した朝鮮人の安龍福が、両島は同じ島で、江戸幕府
朝鮮領であると認めさせたという「偽証」があると見られる。

 

このような調査の結果、歴史的事実が明らかになることは大いに結構である。
我が国では竹島問題は、残念ながら一地方の話題程度にしか扱われず「何故」
か韓国が騒ぎ始めるとそれに呼応するメディアがあるぐらいのものだ。すでに
「伝説」とも言える朝日の論説主幹である若宮啓文氏のコラム「風考計」にお
ける「いっそのこと島を譲ってしまったら、と夢想する。」がその代表例であ
ろう。とかく他国との火種の原因になる領土問題については我が国は先送りな
らまだしも、うやむやにしてきた経緯があり、どうしても国民的な関心事には
ならないのが問題である。

 

また、韓国が主張してきた地図表記における日本海を「東海」に改めるとの動
きは、米議会図書館所蔵の14―19世紀の地図を対象に、日本海海域の名称
がどのように表記されているかを外務省が調査したところ、8割超が「日本海
と表記されており、韓国側が主張するところの「『日本海』が定着したのは、
日本の植民地主義が原因」は完全に否定されたわけである。歴史的事実をつき
つけられても、なお表記を改めるよう国際社会に働きかけるようでは文字通り
駄々っ子ではないか。一方的な主張には明確な反論で、きっちり白黒つけてこ
国益が守られるのではなかろうか。