自民党山崎拓前副総裁は13日午前の日本テレビの番組で、小泉純一郎首相
が在任期間中に北朝鮮を再訪問する可能性について「3回目の訪朝は、日朝国
交正常化が実現したその調印式だ。(任期中に間に合うかは)五分五分だ」と
の見通しを示した。対北朝鮮で「対話と圧力」を掲げる安倍晋三官房長官に関
しては「圧力の部分を今まで代弁してこられたが、圧力だけでは解決しない。
人気を博したとは思うが、強硬論で解決しないことは間違いない」と指摘した。
山崎氏は日朝国交正常化について「核問題抜きに拉致問題を決着すれば日朝国
交正常化ができるかと言えば、できない。未来永劫にわたって核の脅威に脅か
されるのは日本だからだ」と述べ北朝鮮の核問題解決が前提との認識を示した。

 

北朝鮮との国交正常化を小泉首相の任期中に決着させる必要など毛頭ないこと
は明らかである。国交正常化を花道に総裁を退くようなシナリオが有り得ない
のと同様に、拉致問題と核問題の解決無しに国交正常化など有り得ない話だ。
それを放っておいてまで何故北朝鮮と国交正常化をせねばならないのか理解に
苦しむ。山崎氏は安倍氏の「対話と圧力」に否定的な向きであるようだが、対
話だけ続けてたところで北朝鮮はひたすら時間稼ぎをして、核武装を果たすで
あろうし、それが実現しなかったとしてもこれまで通り核をカードとして切っ
てくるであろう。一党独裁国家であるだけでなく、社会主義体制下での世襲
言う前代未聞の金王朝が相手なのを忘れてはならない。

 

そうなると山崎氏の示した五分五分と言う可能性は大きなもののように感じる
が、小泉首相の盟友なら急ぎ国交正常化を果たす必要はないと提言していただ
きたいものだ。事実、政府は先の日朝政府間協議で、大使級などによる正式な
国交正常化交渉を再開し、拉致、核・ミサイル問題の各協議と並行して進める
「三本立て交渉」を提案しており、国交正常化の前提であった拉致問題の解決
と核の廃棄が棚上げされかねない。何のための国交正常化か、国民が納得出来
るだけの理由を示させねば、大きな禍根を残すことであろう。