アジア太平洋経済協力会議の21カ国・地域の首脳がそろった18日の全体会議
で、小泉純一郎首相は議題と関係なく独自の「日中友好論」を展開した。中国に
胡錦濤国家主席との会談を断られたが、胡主席も列席する国際会議の場で、一方
的に自分の立場を主張してしまう政治パフォーマンスだった。「全体会合で、皆
の聞いてる前で、私が発言したんだ」。18日夜、同行記者団が盧武鉉韓国大統
領と会談した感触を尋ねたところ、小泉首相は質問をよそに、全体会議での発言
について約10分間、身ぶりを交えて熱弁を振るった。

 

米中タイ3カ国の冒頭発言後、各国数分ずつ順に発言。小泉首相は議題の経済問
題を外れ、唐突に日中関係を論じた。「一つの意見の違いとか対立で、全体の友
好関係を阻害してはならない。中国、韓国と政治的首脳の交流は途絶えているが、
他の関係は良好。どんなに批判しても結構だ。私は何らわだかまりを持ってない」
との発言に胡主席は反論できず、議長の盧大統領も聞き役に回るしかない状況。
パフォーマンスと言えばそれまでだが、現実に即した発言であることに間違いは
ない。中韓とも経済的な交流がより盛んになる中で、政治的な交流は靖国神社
参拝と言う本来外国がとやかく言うことではないことが問題視されたことで途絶
えている。

 

小泉首相中韓が絶対に靖国神社の参拝を受け入れられないことを見越して、こ
のようなパフォーマンスをしているのであろう。それに対して「何らわだかりを
持っていない」とまで言い切っているのは、靖国神社の参拝についてもう中韓
は配慮しないとの表れかもしれない。靖国で引けば、次は歴史教科書、さらには
東シナ海のガス田と要求がエスカレートするのは目に見えている以上、靖国くら
い譲歩しろとの意見を通すのは難しそうだ。これをアジア外交の孤立と見るかは
人それぞれだろう。