耐震強度偽造問題国土交通省が公表する2日前に、元国土庁長官の伊藤公介
衆院議員(自民党)が、中堅マンション販売「ヒューザー」の小嶋進社長とと
もに同省を訪れ、担当の建築指導課長に引き合わせていたことが26日、分か
った。席上、小嶋社長は公表中止を求めた上で、国指定の確認検査機関が偽造
を見逃したことについて国にも責任があると主張、公的資金の導入を求めたと
いう。伊藤元長官は小嶋社長を「知人」として紹介したことを認め「問題の経
緯と今後の対応を話し合うべきだと思った」と説明している。小嶋社長は「公
表を控えるようお願いしたことはない」としている。

 

小嶋社長は2002年12月と03年12月に、伊藤元長官の政治資金管理団
体「東京公友会」にそれぞれ16万円を政治献金。また昨年9月に開かれた同
元長官のパーティーの券をヒューザーが計100万円分購入したことも分かっ
ており、ついに政治の世界にまで問題が波及した。政治家の紹介で所管省庁で
ある国土交通省に業者が出向くなど、どう考えても政治家の圧力を期待しての
こととしか捉えようがない。伊藤衆院議員は「国交省に連れて行った場では私
は何も申し上げていない。小嶋社長がどんなことを要望していたのか、細かい
やり取りは記憶にない」と釈明しているが、記憶にないでは済まされないので
はないか。

 

国土交通省で何をしようとしたのか知らないが、偽造が明らかになった時点で
マンションの危険性を住民に知らせるのが先決ではなかったのか。株式会社で
あるからと言って利益追求のため何をしても良いわけではなかろう。政治家の
力を借りて押さえ込んだところで、いつか綻びが来る。指定民間確認検査機関
イーホームズ」も国土交通省の立ち入り検査で、大半のケースできわめてず
さんな審査を行っていたことが判明しており、この問題に関わった人間・企業
の炙り出しはまだまだ続きそうだ。