建物の耐震強度偽装問題で、衆院国土交通委員会は29日、建築主「ヒューザ
ー」の小嶋進社長ら6人を呼び、参考人質疑を行った。民間の指定確認検査機
関「イーホームズ」の藤田東吾社長は問題公表をめぐり、小嶋社長から「正義
を貫いて何の意味がある。徹底的にたたく」などと圧力を受けたと証言した。
小嶋社長は「全く違法性がない」と偽造への関与を全面否定。欠席した姉歯
一級建築士に責任転嫁する発言も多く、真相解明には程遠い内容となった。

 

「正義を貫いて何の意味がある、徹底的にたたく」とはなかなかに凄まじい言
葉ではないか。偽造を見逃せ、売っちまった建てちまったものは仕方ないだろ
とでも言わんばかりだ。姉歯建築士の口から「真実」を語って欲しいものだが、
相当なプレッシャーがかかっているのだろう、何らかの保護下の元に自由に語
らせられる環境を整える必要があるのではないか。建築士が仕事を取るために
敢えて違法行為をしていたとしても、仕事の早さ、そして建築費の安さを追求
したのは発注元の建築主であろう。

 

このヒューザーの社長も「全く違法性がない」と強弁してはいるものの、26
日に「要請があれば販売価格の106%の金額で買い戻す」と表明したが、そ
の前の24日に国土交通省建築指導課長に「いよいよこのままでは、来月(1
2月)の末をめどに倒産を余儀なくされております」として行政側に支援を求
める文書を出したことが発覚、行政側に経営の行き詰まりを示唆していたこと
になり、買い戻しの根拠が揺らぎ始めている。それはそうだろう、営業活動な
どままならず、金と信用は減っていくばかりである。

 

住民を人質にとったように「倒産するとお客さまは住宅ローンと家賃の二重の
負担となり、お客さまの力では戻ることも建てることもできません」とまで書
いているのだから、モラルの欠如は言うまでも無い。違法物件を建てておきな
がら最後は行政にすがる姿勢は、とても成長企業とは思えない。徹底的な追求
こそが今求められている。