衆院国土交通委員会参考人招致で、姉歯秀次1級建築士の偽造を隠ぺいしたと
、指定確認検査機関イーホームズ藤田東吾社長から指摘された同機関最大手「
日本ERI」の鈴木崇英社長らは29日、国交省で記者会見し「偽造の認識はな
く、隠ぺいなどという事実は全くない」と強く否定、「名誉棄損に当たるかどう
か弁護士と相談したい」と述べた。同社の説明によると、姉歯建築士が当初関与
したマンションの構造計算を別の建築士が引き継いだことがあり、この建築士
昨年4月、同社の確認検査員に「設計はひどかった」と指摘していた。

 

こうなると民間の指定確認検査機関はどうなっているのか、と疑いの目で見られ
ても仕方の無い状況であろう。プロが見れば見抜くのは簡単であるとされる偽造
も「巧妙に偽造されていて見抜けなかった」と平然と言えるのは、腑に落ちない。
ヒューザーの小嶋社長のように国交省に問題があると国会の場で言えるのも、誰
かが責任を認めるまで逃げの口上を打つとの戦術だと思われる。むろん、民間に
出来ることは民間で行うのが望ましいが、マンションのように衣食住の「住」と
なる生活基盤では国や地方自治体も民間に全て任せるのではなく、何らかの方法
で関わるべきであったかもしれない。

 

当然のごとく民間の検査機関には国交省のOBが多数天下りしている中、本来見
抜くべき立場にあるプロ達が一介の建築士に騙され、信用を地に落とした。これ
が現実なら住民の怒りはどこにぶつけるべきなのか、「偽造を見抜くのは本当に
難しい」と国会の場で述べたイーホームズの藤田社長にとんだ野次「それなら、
検査機関なんてやめちまえ」がこの問題の実態を端的に表している。誰もが責任
を被ろうとせず、責任の所在を誰もが明らかにせず、むしろ他社も似たようなこ
とをしているのだと告発する業者たち。相当複雑怪奇な事件になるだろう。