兵庫県教委が、靖国神社を紹介する内容を盛り込んだ戦争展を後援していたこ
とがわかった。県教委は「後援依頼があった際に展示内容まで把握していなか
った。今後は十分に内容を検討し、後援の可否を決める」と釈明している。県
教委が後援したのは「もうひとつの戦争展」で、今月16日から3日間、神戸
中央区にある県民会館で開催された。県教委によると、展示の趣旨について、
実行委から提出があった後援依頼文には「平和の尊さや大切さを考える機会を
提供する」などと記してあったことから、後援を許可した。ところが、県教委
が同展の開催前、案内チラシに「靖国神社遊就館が、パネルになってやって来
る!」と書かれてあることを知り、担当者が開催初日に会場を訪れたところ、
同神社に関するパネルを確認。県教委が「特定の宗教団体に関係する展示は後
援できない」と抗議すると、主催者側はパネルを撤去し、「今後は注意する」
などと回答したという。チラシには県教委のほか、県、神戸市、同市教委も後
援団体として記載されていた。

 

確かに靖国神社は戦後、国家神道としての枠組みを離れ一神社としての立場と
なったわけだが、あくまで戦没者追悼の慰霊施設として存在していることは揺
るぎようのない事実である。自治体が特定の宗教団体の後援は出来ないという
のであれば、それはそれでやむをえないであろう。戦争パネル展実行委員会な
る団体が主催していたようだが、あくまで靖国神社遊就館をメインにすえるの
ではなく、展示の流れの中にうまく組み込めばこのような事態にはならなかっ
たかもしれないが、とかく国内では靖国神社を腫れ物でも触るかのように扱う
ようなこともある。靖国神社遊就館で見られるいわゆる靖国史観が侵略戦争
の正当化であるとの批判も、歴史の側面から見れば必ずしも間違っていないよ
うに、大東亜戦争そのものを正面からだけ見るのではなく、封印された歴史そ
のものに触れることも必要であろう。とかく誤解を招くような事態となっては
しまったものの、このような展示会も必要ではなかろうか。