日朝政府間協議は25日、北京市内の日本、北朝鮮双方の大使館で2日目の協議
を行い、拉致、安全保障問題、国交正常化の三つのテーマについて、来年1月末
をめどに協議の場を設置し、並行協議を開始することで合意した。これにより、
2002年10月の第12回交渉以来途絶えていた日朝国交正常化交渉は、約3
年3か月ぶりに再開される見通しとなった。25日の協議は2回の休憩をはさみ、
計約3時間に及んだ。その結果、<1>日本人拉致問題<2>核・ミサイルなど
の安全保障問題<3>「過去の清算」を含む日朝国交正常化――の3分野につい
て協議の場を設置し、並行して話し合うという11月の前回協議での日本側提案
について、北朝鮮が受け入れる意向を表明した。

 

各協議の出席者については、拉致問題は審議官級、安全保障問題は局長か審議官
級、国交正常化交渉は大使級とすることでも合意した。日朝の政府間協議が再開
されるようだが、拉致や安全保障の問題と並行して国交正常化交渉もすると言う
提案は、拉致や安全保障の解決が疎かにならないか危惧している。あくまで我が
国の立場として拉致問題の解決なくして国交正常化はあり得ないわけで、こちら
から敢えて北朝鮮と国交を回復してもメリットはほとんど無い。北朝鮮側は拉致
問題は「解決済み」との従来の姿勢を崩さなかったが、「拉致を含め未解決の懸
案を誠意をもって努力し、具体的な措置を講ずる」ことを約束したとされるが、
何度も不誠実な対応で拉致被害者の家族を嘆かせてきた。

 

特に横田めぐみさんの「ニセ遺骨」を始め、拉致問題に関しては北朝鮮は何ら誠
意のある態度を見せず、これを放っておけば拉致そのものが有名無実化する恐れ
もあり、何はなくとも拉致の全面的な解決を進めていくしかあるまい。何度でも
書くが、北朝鮮との国交正常化など我が国とって何らメリットは無い。損得を考
えるなら、それが正解ではなかろうか。