中国での旧日本軍遺棄化学兵器処理事業をめぐり、中国側が当初の予定になかっ
た大規模変電所やヘリポートの建設を要求していることが2日、明らかになった。
処理施設建設予定地の吉林省ハルバ嶺は、ロシアや北朝鮮国境に近い地政学上の
要衝。与党からは事業終了後に中国側が施設解体に応じず、人民解放軍の弾薬保
管やミサイル格納などに転用する可能性を指摘する声が出ており、今春、現地調
査に乗り出す方針だ。与党関係者らによると、中国側は新たにヘリポート建設を
要求してきたほか、5万−7万キロワットの処理能力を持つ変電所の建設を非公
式に打診。30万−40万発の化学兵器処理に必要な変電所は数千キロワット規
模とみられており、中国側の要求は大幅に上回っている。

 

遺棄化学兵器の処理事業に関しては、兼ねてから中国の言い分をそのまま飲むよ
うな形で進められていることが問題視されており、我が国の見積もった30万か
ら40万発の遺棄量が中国が見積もると200万発に膨れ上がる有様で、さすが
にこれは受け入れられなかったようだが、何に使うのか知らないがヘリポート
建設を要求してくるとは、厚かましいにもほどがあるのではないか。さらに変電
所は中国の見積もった200万発の遺棄量の処理ですら上回るであろうと言う数
万キロワット規模を打診してくるなど、正にやりたい放題である。1999年7
月に締結した遺棄化学兵器に関する日中覚書は、日本が処理費用をすべて負担す
るだけでなく、処理の過程で起きる事故も日本がすべて補償する内容となってお
り、日本側が事業終了後に施設の引き渡しと解体を求めても、中国側が新たな遺
化学兵器の発見などを理由に応じない可能性すらあるのだ。

 

もともと我が国はポツダム宣言を受け入れ、各地で連合国の武装解除を受け兵器
については当事国に引き渡したわけである。それは中国大陸や満州国の派遣軍も
同様であるはずだが、これだけ多くの化学兵器の類を遺棄したとは思えず、引渡
した中国軍やソ連軍が処理に余り遺棄したのではないかと考えても不思議ではな
いはずだ。当時、化学兵器はどの国も所有しており我が国が後ろめたさのために
遺棄する必要も無く、むしろ処理してもらえるならさっさと引き渡してしまった
方が安全でもあったにも関わらずだ。いずれにしても、1997年4月に発効し
化学兵器禁止条約に沿って、我が国が処理をしなければならない現実は変わら
ないものの、不透明なまま多額の金が投入されるのだけは避けねばならないだろ
う。特に軍用に転用可能な施設など、言語道断ではないか。