耐震強度偽装問題で、マンション販売会社ヒューザーの従業員の大半が退職し、
営業継続が困難な状態に陥っていることが16日、分かった。近く正式に営業活
動を休止する。同社は会社資産と小嶋進社長の個人資産を公開し、耐震強度不足
が判明したマンション住民への補償に充てるとしている。しかし、複数のマンシ
ョン住民が「小嶋社長の言動はまったく信用できない」として、資産保全のため
破産申し立ての方針を表明しており、今後の推移は不透明だ。ヒューザー関係者
によると、11月17日の偽装問題発覚後に新たな物件の販売が進まず、事実上
営業ができなくなった。これに伴い、発覚前に30数人いた社員の9割近くが退
職し、現在は数人の社員が残るだけという。

 

住民と同様に行き場がないのは従業員も同じ立場である。偽装物件と知ってか知
らずかは置いておくとしても、会社が破綻寸前ともなれば路頭に迷うのみである。
経営トップが偽装を知りつつ販売を行ってきたのであればその罪は大きいが、こ
の手のマンション販売業は一生の買い物であると言われるだけあって、売る方も
口八丁で何とか契約を結ぼうとする。偽装が明らかになった後も成約間近の物件
を売ったことも発覚しており、売ったもの勝ちな販売姿勢が見え隠れする。とか
く補償に充てるとされた資産が激減する中、ヒューザーは会社としての体を成さ
ず営業停止の憂き目を見た。

 

17日の証人喚問では、小嶋社長が姉歯秀次建築士による偽装や耐震強度不足
を、どの程度知り販売契約や物件引き渡しをしたのか、宅地建物取引業法違反を
認識していたのか、が最大の焦点となるとされ、大騒動となった偽装問題も一段
落となる。小嶋社長の口から弁解の言葉だけでなく、真実が語られることに期待
せざるを得ない。住民感情を考えればいつまでも、他社に責任をなすりつけお茶
をにごすだけでは誰も納得はしないであろう。