政府は、北方領土における日露の「ビザなし交流」を拡大するため、現在は数
日間に限られている日本人の択捉、国後、色丹、歯舞4島の滞在期間を最大1
か月程度に延ばすようロシア側に提案している。日本人の元島民とロシア人島
民らの相互理解を深め、北方領土問題を解決する環境整備の一環とする狙いだ。
7月の主要国首脳会議時の小泉首相プーチン露大統領との首脳会談で合意す
ることを目指す。北方領土での日露交流は1964年に元島民らの墓参りで始
まった。92年以降は、訪問者の対象が報道関係者や国会議員らにも拡大され
た。いずれも旅券や査証(ビザ)は持参せず、2005年11月時点で延べ1
万7344人が北方4島を訪れている。

 

2月7日の北方領土の日が近付く中、あくまで北方領土は我が国の固有の領土
であり、不法にロシアが占拠しているのだと世界に知らしめねばならない。だ
がかつての島民達は高齢化し、さらに我が国の世論を喚起するほど北方領土
存在は大きくないのが現実だ。実効支配をされているとは言え、その不当性は
旧ソ連の火事場泥棒的な侵攻の仕方からも明らかであるし、日露交流などと言
わずに堂々と我が国の領土に足を踏み入れれば良い。世界のエネルギー事情を
見越してか、プーチン政権は強硬さを前面に出し反ロシアの国のパイプライン
を止めるなどと言う民主国家にあるまじき行為をしている。

 

強いロシアの再現を目指し、あくまで北方領土問題は解決済みとの姿勢で臨ん
でくることが予想されるが、首脳会談で突き詰めていって欲しいものだ。ここ
まで問題が放置されてきたことが、ロシア側をして解決済みとの姿勢をとる原
因となっているのだが、過ぎてしまったことを悔いても仕方あるまい。過去の
失敗を忘れず、未だ「占領」され続ける我が国の現状を多くの国民が今一度、
認識し事実を受け入れることだ。我が国は未だに占領されている、それだけで
も十分なインパクトを持つのではなかろうか。