北京を訪れていた二階俊博経済産業相は23日、記者団に「大きな前進があっ
た」と訪中の成果を振り返り、一連の日程を終えて帰国した。唐家セン国務委
員との会談では、中断していた東シナ海のガス田開発をめぐる日中協議を3月
上旬に再開することで合意。約5カ月ぶりに対話が再開されることが決まった
が、両国の認識の差は大きく、ガス田をめぐる共同開発が冷え切った日中関係
を改善する突破口となるかどうかは流動的な情勢だ。ガス田開発をめぐり日本
側は、昨年10月の第3回協議で(1)白樺(中国名・春暁)など中間線付近
で中国が生産を開始したガス田3カ所を共同開発する(2)中国側は生産を停
止する―とする案を提示。さらに、鉱区の資料提供を求めた。

 

今年1月9日の局長級非公式協議で、中国側は「次回協議で新提案を行う」と
表明しており、第4回協議では中国側が提案する共同開発案の内容が焦点とな
るようだが、この中国の新提案が相当な曲者ではなかろうか。時間だけが経過
し、着々とガス田開発が進んでいく中で我が国は貴重な時間を浪費していくだ
けでなく、現実に資源を中国側に吸い取られている恐れがあるのだ。さらに中
国は以前から、大陸棚が広がる沖縄トラフを「境界線」と主張。日本側が主張
する中間線の日本側だけを共同開発の範囲と位置付けており、中間線をめぐる
論議は平行線のままで、お互い譲れない部分となっている。

 

世界の資源を喰らい尽くすが如くのエネルギー消費を続ける中国にとって、自
国で賄える資源があればあるほどエネルギー面での安全保障を確立出来る。む
ろん自分の庭と思っている東シナ海で我が国が開発を進めようとしているのを
黙ってみていられるほど懐の広い国ではなく、せいぜい共同開発のレベルで収
めようとしているのだろう。むしろ、その共同開発すら怪しい状態であるが、
日中間の緊張緩和どころではなく緊張の原因になっているのは、こういった実
益のある部分であろう。靖国神社の参拝など中国政府にとっては、本当はさし
たる問題ではなく、対日カードに過ぎない。それを忘れてはならない。