民主党鳩山由紀夫幹事長は20日、名古屋市で講演し、前原誠司代表の党運営
について「『おれについて来い』でスタートしたが、ついていけないという気持
ちを党内で高めている。『みんなで頑張って乗り切ろう』という方向に変えるこ
とが必要だ」と述べた。そのうえで「小沢一郎前副代表、菅直人元代表、横路孝
衆院副議長らのもとに通い、『知恵を貸してほしい』と率直に話すことが大事
だ」と語り、ベテランの助言を仰ぐべきだと強調した。偽メール問題をめぐって
は「若い議員の努力は魅力的だったが、私たちや渡部恒三さんの世代の思いを理
解せずに進め、結果として功名心をあおった」と指摘。「党の体質を本格的に改
革しなければならない」と述べた。

 

確かに当の体質を本格的に改めるべきなのは、民主党にとって長年の課題であり
弱点でもあった。果たして本当に改革が出来るのだろうかと、ガタガタになった
民主党を見ていて思うのだ。「みんなで」と簡単に言うが、その「みんな」に含
まれるのは民主党の全ての議員に対してなのか、民主党のそれぞれの実力者に対
してなのかによって随分と違ってくるのではないか。当の鳩山幹事長もベテラン
の域に達しており、前原体制を支えていく立場にあるはずだが、前原代表に何ら
かの知恵を貸してあげるべき立場でもあるだろう。

 

様々な事情を抱えた議員が反自民をもとに結集し、一時は二大政党制を呼号する
までに成長した。自民党がそうであるように、3人集まれば派閥が出来ると言わ
れたごとく、民主党内にも実力者の下にグループが形成され、右もいれば左もい
る多様な顔ぶれが民主党を形作っている。明らかに主義・思想の違う人間が同じ
釜の飯を食うのだから、政治の力学が働くのも仕方あるまい。今回のメール問題
のように、あまりに稚拙な進め方はともかくとしても、やはり粛々と前原体制は
党運営をしていくのが今のところ最善の道かもしれない。