原敕晁さん拉致事件で、警視庁公安部は23日午前、原さんが当時働いていた
大阪市にある中華料理店や、店主の自宅、朝鮮総聯の関連団体「在日本朝鮮大
阪府商工会」など6カ所について国外移送目的拐取などの疑いで家宅捜索を始
めた。原さん拉致は、元工作員辛光洙容疑者が主導し、現在韓国在住の元工
作員ら3人が関与したことも分かっており、警視庁は辛容疑者や元工作員につ
いても同容疑で逮捕状を請求する。辛容疑者と元工作員の引き渡しを北朝鮮
韓国に求め、店主については、2人の引き渡しを受けた後、本格捜査する。店
主は当時同商工会の理事長で、当時の同会会長も関与が疑われている。拉致の
容疑での国内協力者や朝鮮総連関連施設への捜索は初めて。

 

辛容疑者が韓国で逮捕された時点で詳細な調書がとられており、これを受けて
我が国の警察が動けなかったことは今考えてももったいないことだ。あまりに
遅きに逸した感が否めないが、拉致問題の解決のためにやれることは徹底的に
やることには賛成したい。米国の金融制裁がじわじわと効き出した北朝鮮では
金正日総書記の誕生日には恒例となった住民や子供、党幹部への贈り物ができ
なかったほか、本来なら1年で最も食糧が不足するこの時期に、平壌の自由市
場で毎年値上がりするはずのコメの価格が、今年は買う人が少ないため、下落
する現象が起きているとの報道もある。制裁が解除されるには、北朝鮮が真摯
な態度をもって国際社会を相手にしていくしかないだろう。

 

拉致の解決無くして国交正常化など有り得ないわけで、さらに言えば拉致が解
決したところで北朝鮮と国交正常化などする必要はない。大々的な往来や貿易
が見込める相手でもなく、むしろ我が国にとって損の方が多い。何のための正
常化であるかを国民に示すことが出来ないのであれば、拉致と安全保障の問題
のみに重点を置き協議を続けるべきだ。経済援助などちらつかせずとも、各国
との連携で制裁を続け締め上げていくのが近道である。もともと誠意ある対応
が望めない国なのだからそれは仕方あるまい。