政府は16日、中国に対する政府開発援助について、返済が不要な無償資金協
力を打ち切る方針を固めた。今年夏にも正式決定する。中国が経済発展に伴い、
無償資金協力の対象国としてはすでに不適当だとの認識に加え、歴史認識、東
シナ海の石油ガス田開発問題をめぐる中国の対応に対し、国内から強い批判が
出ていることを踏まえ、判断した。政府は対中ODAの減額分をインドに振り
向ける方針で、ODAの面でもインド重視の姿勢を鮮明にする。政府は対中O
DAのうち、円借款の新規供与を平成20年の北京五輪前までに打ち切ること
を決めており、これに続いて無償資金協力も全面的にストップすることになる。

 

有人宇宙飛行に成功し、五輪や万博の開催を後に控える中国は援助の必要な途
上国には当てはまらないだろう。さらに言えば援助をしても、感謝をされるど
ころか内政干渉まがいの要求をつきつけてくるわ、日中両国で協議をしている
際にも一方的に資源の開発を進めるわで、中国に援助をし続けたところでそれ
が何に使われるかわかったものではない。安全保障の面からも次代の大国とな
りうるインドと親密な関係を築くのは得策であろう。親日国としても知られ、
日系企業も数多く進出してスズキのように自動車のトップシェアを誇る企業も
現れている。

 

世界最大の民主国家と世界最大の一党独裁国家を相手にするのであれば、やは
り民主国家を選んで当然であろう。中国は他国に政治体制をとやかく言われる
と烈火のごとく怒るものの、やはり触れられては困る部分を多く抱えるからこ
そ、ではないか。急速に進む軍備拡張も、何処を睨んでのものかは言わずもが
なであるとしても、インドを引き込んでの対中政策は大いに結構なことだと思
う次第である。先の大戦では遠くインド洋まで南雲艦隊が出撃したことに思い
を馳せつつ筆を置きたい。