衆院千葉7区補欠選挙は23日投開票され、民主党公認の前千葉県議太田和美
氏が、自民党公認の前埼玉県副知事、斎藤健氏ら4氏を破り、初当選した。民
主党の小沢一郎代表は初陣を勝利で飾り、「偽メール問題」で失墜した党の再
生に足がかりを得た。総力戦の末に敗れた自民党は「小泉改革路線」に痛手を
負った形で、今秋の総裁選にも微妙な影響が出そうだ。補選は自民党の松本和
巳前衆院議員が陣営の公選法違反事件に絡んで辞職したことに伴い実施された。
政策面では明確な争点がなく、小泉純一郎首相の最後の国政選挙で勝利して「
小泉改革の総仕上げ」につなげたい自民党と、小沢新体制の基礎固めを目指す
民主党の「政治決戦」となった。

 

劇場型選挙と言われた小泉流の選挙戦も、さすがに昨年の衆院選の時のように
無党派層を投票に駆り立てるほどには今回はならなかったようだ。郵政民営
化を旗印にしていたのに対して、今回は敵失に乗じる形で補選も獲る勢いであ
った中に、小沢新代表が誕生し民主党は逆風から追い風を得たと見た方が良さ
そうだ。だが僅差の勝利であったことが言うまでも無く、風が吹いたとは言え
大接戦となったのは偽メール問題が未だに尾を引いていたことの証明でもある。
従来の支持基盤を小泉政権は切り捨てていき、残った組織と言えば創価学会
選挙マシーンくらいのものだが、来年の参院選に向けて地道に組織固めをする
猶予期間が与えられたと考えた方が良さそうだ。

 

劇場型は波に乗れば圧倒的な力を発揮するが、やはりムラが非常に大きい。従
来型の選挙手法が必ずしも正しいとは言いがたいものの、いざと言うときに頼
れるのが学会だけでは考えものである。一方の民主党も小沢代表と共に参院選
を戦い抜く体制を築けるかが、何にしても明日明後日に参院選があるわけでは
ない。寄り合い所帯の脆さが出てくるのは、時間があればあるほどはっきりし
てくることだろう。両党にとってこの1年が持つ意味は大きい。