長距離弾道ミサイルテポドン2号」の発射実験準備を行っているとされる北
朝鮮が今年に入り、「人工衛星」の打ち上げに備え、宇宙工学分野の科学者を
動員し、軌道の設定と計算の作業を進めていることが分かった。北朝鮮に詳し
い情報筋が17日明らかにした。「人工衛星」として発信機などをテポドン
号に組み込み打ち上げを行う可能性も排除できなくなったといえる。発射の場
合、北朝鮮は「平和目的の人工衛星」と主張するとみられるが、打ち上げに使
われるミサイル自体を脅威とする日米が強く反発、制裁を含む厳しい姿勢で臨
むのは確実で、緊張は一気に高まりそうだ。昨年9月の6カ国協議の共同声明
や、日朝平壌宣言が破棄される危機に直面するのも不可避だ。

 

このタイミングでのテポドンの発射実験は、どのような意図を持ったものなの
だろうか。平和目的の人工衛星打ち上げなどと主張するのは勝手だが、確実に
日米の反発を買うのは必至であり、これまで以上に緊張が高まるのは間違いな
い。特にほとんど反故にされた形の日朝平壌宣言も、事実上の破棄となってし
まうことだろう。瀬戸際外交もここまでくれば、やけっぱちなのか、はたまた
きちんとした外交戦略に則ったものなのか、いずれにしても北朝鮮は発射実験
を強行し、これまでにない制裁を受けることになるだろう。中国や韓国がどう
動くかにもよるが、少なくとも日米は協調をとり制裁に動く姿勢を見せること
で、中韓へも働きかけを強めていかねばなるまい。