自民党旧宮沢派系の丹羽・古賀、谷垣両派と河野グループ3派の有志らで
つくる「アジア戦略研究会」は4日、党本部で安倍晋三官房長官を招き勉
強会を開いた。アジア外交重視を掲げる同研究会は、9月の総裁選に向け、
安倍氏包囲網の形成が狙いとの見方もあり、同氏は冒頭、「皆さんとは考
え方が違うとの評論があるが、ぜひ誤解を解きたい」と呼び掛けた。もっ
とも、安倍氏が低姿勢を示したのはこの場面だけ。講演に入ると、小泉純
一郎首相の靖国神社参拝で悪化した日中関係について「1つの問題ですべ
て閉じてしまうのはおかしい」と、首脳会談に応じない中国を改めて批判。
日本人拉致問題でこう着している対北朝鮮外交に関しても「善意を期待し
ての交渉はできない」と強硬姿勢をにじませた。

 

ポスト小泉候補を呼んでの値踏みではないが、異なる姿勢を持つ政治家を
呼んで話を聞く、それは民主主義として当たり前の行為である。あくまで
各政治家が確固たる信念を持ち、内政であり外政でありをこなしていかね
ば、それは政治の敗北であろう。特に外国からの言われ無き圧力に屈して
まで、自国を誤った方向に進めてしまうような政治家は、指導者としては
相応しいものではない。日中関係と日韓関係が小泉首相が政権についての
5年間でかつてないほど悪化したことは、靖国神社の参拝だけが問題では
なかろう。ポスト小泉の継承には、悪化した中国、韓国との関係修復が含
まれることを期待する向きもあるが、果たして参拝しないと言う選択肢だ
けで関係修復が図れるかは大いに疑問である。

 

北朝鮮への強硬姿勢は安倍氏官房副長官であった時期より、一貫してと
ってきたものであり、票になると思いブルーリボンのバッチをつけた議員
とは比較にならないものであろう。アジア外交は今後とも、不安定な要因
を抱えていくのは間違いなく、ポスト小泉は時には決断を迫られることも
あるだろう。各候補がどのような考えを持っているのか、総裁選前に注目
しておきたいところだ。