安倍官房長官は27日から、政府の「再チャレンジ支援政策」の一環として
、地方視察を開始する。再就職などに取り組む人たちとの意見交換を通じて
地域の課題を把握するのが狙いだ。視察先では自民党の地方議員との会合も
予定されており、9月の党総裁選に向け、事実上の選挙運動のスタートにな
ると見られる。地方視察は、民主党の小沢代表のおひざ元・岩手県を手始め
に、東京都(28日)、京都府(8月4日)、大阪府(同5日)など6都府
県を回る予定。東京など3か所では、安倍氏支持議員が多い「再チャレンジ
支援議員連盟」のメンバーが地方議員を集めて安倍氏との意見交換の場を設
ける。

 

自民党の総裁選に向けて、現在のところ北朝鮮のミサイル発射が追い風とな
った安倍官房長官がダントツのトップに立っている。同じ総裁候補の麻生外
相とは綿密な連携をとり、北朝鮮強硬派として明確な対応を示せたのではな
かろうか。安倍氏の人気を不動のものにしたのが、対北朝鮮でのゆるぎない
姿勢であり、その反面経済や社会保障について語られることは少なかった。
そこで、再チャレンジ支援政策を打ち出し、「ウリ」を増やそうと言う目的
なのだろう。小泉首相郵政民営化を叫び、3度目の挑戦で総裁になれたの
に対して、安倍氏は総裁に就くための土壌が出来ているのも大きいだろう。

 

民主党の決戦となる来年の参院選は、小泉ブームで当選して「しまった」議
員の改選を迎え、もともと厳しい情勢なのが予想されるが、それを乗り切れ
るかを問われるのがポスト小泉である。いずれにしても自民党にとっては、
過半を制した昨年の総選挙の反動は確実にくるであろうが、もう一度風を味
方につけるくらいでしか乗り切れないだろう。参院選で敗北することは片肺
飛行を余儀なくされ、結果的にポスト小泉はそこで退陣を迫られる。そう考
えると小泉首相の後継者は誰がなっても、近いうちに困難を極める事態が襲
ってくるのは間違いの無いことだ。