中国を訪れている日本遺族会会長の古賀誠自民党元幹事長は19日、北京
中国共産党対外連絡部の王家瑞部長と会談し、日中関係冷却化の最大の要
因となっている靖国神社問題について意見を交換した。王部長は、古賀氏が
提唱しているA級戦犯分祀論について「注目し、期待しており、日本国内
で受け入れられるのであれば良い方向だ」と述べ、期待感を表明した。古賀
氏は、王部長との会談後、曽慶紅国家副主席や武大偉外務次官とも会談した。
会談で、王部長は「戦争で亡くなった戦没者と、戦争を引き起こした戦犯を
混同すべきではない」と述べ、A級戦犯を祭った靖国神社への参拝に反対す
る考えをあらためて強調した上で、分祀論を評価した。

 

日本遺族会の中でもいわゆるA級戦犯と同列に祀られることについて、反対
する声があるのも確かであろう。戦争を指導したものと実際に戦ったものと
言う明確な違いがある。むろんそういった意見の多様性があることが、普通
であって全員が意見の一致を見るような問題でもない。だが、今回の古賀氏
の中国の要人と会い、そこで自らの分祀論を展開するのはいささか首を傾げ
てしまう行為ではないか。中国がいわゆるA級戦犯が祀られている靖国神社
を参拝するなと注文をつけ、それに対して出てきたのが分祀論であった。第
一、78年に昭和殉難者として14人が合祀された際には、このような議論
が出てくることも無かった。

 

中国や韓国が他国の祭祀にああだこうだと言うのは内政干渉も甚だしく、そ
れを突っぱね続けてきたのが、5年にわたる小泉政権の業績かもしれない。
それによってアジア外交が壊れたと言う批判が出るのも致し方ないところだ。
中韓にとって靖国神社はあくまで政治的カードの一つであって、それ以外の
意味を持たないものであろう。参拝する限りは首脳会談は開かないと明言し
てしまったのは、自ら他の選択肢を閉ざしたことであり、ポスト小泉にとっ
ても踏み絵となってしまった。分祀、国立追悼施設の建設、参拝継続、色々
な声が出ては英霊達もおちおち休んでいられないかもしれない。