自民党総裁選に出馬の意向を表明している谷垣禎一財務相は22日午前、
靖国神社参拝に関し「以前から戦略的あいまいさが必要だと言ってきたが、
当面は控える」と述べ、首相に就任した場合には参拝しない考えを表明し
た。都内で記者団の質問に答えた。ポスト小泉の有力候補で首相の参拝に
理解を示す安倍晋三官房長官との違いを鮮明にする狙いがあるとみられる。
出馬見送りの福田康夫官房長官を支持していた勢力を取り込む思惑もあ
りそうだ。谷垣氏はこれまで、小泉純一郎首相の靖国参拝による中国や韓
国との関係悪化への懸念に言及しながら「総合的判断をする」と述べ、参
拝自粛を示唆するにとどめていたが、姿勢を明確にしたのは初めて。

 

結局のところ靖国神社の参拝を争点にすれば、安倍氏とそれなりに渡り合
えると見たのだろうが、これは強みにでもなるであろうし弱みともなるで
あろう。中韓の圧力に屈したと見られれば、強気な姿勢を崩さない安倍氏
は下馬評通りに勝ち、アジア外交の修復のためと見れば参拝をしないと言
うこともそれなりに意味合いを持つ。だが、いずれにしてもポスト小泉が
靖国神社に参拝するしないで決まるような、そんな選挙であってはならな
いだろう。自民党の総裁は首相になるのであって、これからの国家のビジ
ョンを自民党員だけでなく、広く国民にまで示せねばなるまい。メディア
はそう言った点も伝える責務を持っているのを忘れてはならないのだ。