大手精密測定機器メーカー「ミツトヨ」による外為法違反事件で、同社は、
輸出規制が厳しくなった1993年までの5年間に、核兵器の製造に転用
可能な精密測定機器を毎年1台ずつ、イランの軍事機関や軍需関連企業に
直接輸出していたことが25日、警視庁公安部の調べでわかった。その後
ミツトヨが行ったイラン向けの精密測定機器関連の輸出は2回だけで、
これに代わり、シンガポールの同社現地法人への輸出を急増させていた。
公安部は、シンガポールに運ばれた測定機器類が、イランや北朝鮮などに
渡った可能性もあるとみている。公安部の調べによると、ミツトヨは89
年から5年間にわたって毎年1台ずつ、濃縮ウランの精製工程に不可欠な
「三次元測定機」などをイラン向けに輸出していた。

 

利益のためなら大量破壊兵器の製造に利用されることがわかっていても、
巧妙な手段で輸出する。それは正に死の商人と同レベルに扱っても良いぐ
らいの行為である。このミツトヨと言う企業は改ざん用ソフトウエアを使
い、測定機の性能を低く偽って輸出許可の申請書類を作成し不正輸出しお
り、もはや輸出規制を潜り抜けるために行ったとしか言いようが無い犯罪
レベルの話をしでかしている。核の闇市場に我が国の企業が組み込まれて
いたとの報道もあり、このミツトヨの件もその一角に過ぎないのかもしれ
ない。だが記者会見で経営陣が「逮捕された5人に違法性の認識はなかっ
たと考えている」と述べているのがひっかかる。製品が売れさえすれば、
後はどのように使われようと知らない認識が先行したのではないか。本当
に残念なニュースである。