拉致被害者家族会・救う会の訪中団は28日、北京で予定していた中国の
研究者との意見交換が急きょキャンセルされたことを明らかにした。中国
側から「報道され、静かな環境での懇談ができなくなった」ことを理由に、
中止の通告があったという。訪中団は「残念で遺憾。拉致問題に対する中
国の姿勢の一面が反映されている」との声明を出した。家族会の増元照明
事務局長、救う会西岡力常任副会長ら4人は27日、北京入り。31日
までの滞在中、数回にわたり中国の研究者と北朝鮮による拉致問題などに
ついて意見を交わすことになっていた。中国側の直前のキャンセルは、北
朝鮮を刺激したくないとの考えからとみられる。

 

拉致問題の解決には我が国だけの力だけでは、難しいところもあり北朝鮮
の友好国である中国やロシアの力も借りることは重要であろう。それだけ
にこのドタキャンは残念なことだが、結局は政治的な事情に左右されがち
なのは止むを得ないかもしれない。北朝鮮が沈黙を続ける中で、我が国に
出来ることは地道に包囲網を形成していくくらいものであって、家族会や
救う会に便宜をはかり国論として拉致問題を再認識させる必要がある。も
ともとメディアの報道姿勢は、文字通り熱しやすく冷めやすい。そのよう
な姿勢では一時の流れを作るのみで、大半の国民は次の関心ごとに目をや
ってしまい、本来注目すべきことをスルーしてしまう。

 

今もって拉致被害者達が祖国の土を踏めない状況が解消されないことに目
をつむることは、拉致そのものを認めるに等しい。幸いにしてミサイルの
乱射によって国交正常化などと言う勢力が勢いを失ったことで、交渉の俎
上にのせるのは安全保障の問題と拉致となった。拉致問題の解決はまだま
だ難しい、風化だけはさせてはならない。