都立高校などの入学式や卒業式で、国旗に向かった起立と国歌斉唱を教職
員に義務付けた東京都教育長の通達と校長の職務命令は違法として、都立
学校の教職員401人が都教育委員会などを相手に義務不存在の確認と1
人3万円の慰謝料などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は21日、「懲戒
処分をしてまで起立、斉唱させることは、思想、良心の自由を侵害し、行
き過ぎた措置」として義務がないと認定し、職務命令による強制は違憲
の判断を示した。その上で、命令に従わないことを理由とした教職員への
懲戒処分を禁じ、1人当たり3万円の賠償を命じた。

 

公立校の教師が国旗や国歌に対して敬意を払うことは、当然のことであり
思想・良心の自由を侵害をしているなどとは言語道断である。自由の名の
下にそれが許されてしまうようでは、公教育などとうてい成り立たないも
のとなってしまうだろう。国旗と国歌は国の顔であり、それを教えるのは
義務と責任を負った教師でしかない。自国の国旗・国歌に敬意を払わない
ような子供が、国際社会において他国の国旗・国歌に敬意を払えるだろう
か。なぜ国旗・国歌に敬意を払えないのか、彼等が主張する日の丸・君が
代は軍国主義を思い起こさせるとの理由も、あまりに説得力に欠けたもの
でしかないのではないか。

 

英国や米国のように国旗・国歌は帝国主義時代を経て、植民地支配の時代
を経てきた頃と変化は無い。ユニオン・ジャックや星条旗は今もって彼等
の誇りの象徴である。特定のイデオロギーに染まっているためか、それと
も何らかの理由があっての行為なのか。このような判決が下ってしまった
ことは誠に遺憾だが、今後の展開を見守りたい。