衆院は2日の本会議で、安倍晋三首相の所信表明演説に対する自民、民主
両党の代表質問を行い、国会論戦がスタートした。首相は第二次大戦のA
級戦犯を裁いた極東国際軍事裁判について「裁判を受諾しており、異議を
述べる立場にない」としたうえで、A級戦犯の戦争責任に関しては「さま
ざまな議論があり、政府として具体的に断定することは適当ではない」と
述べ、見解の表明を避けた。民主党鳩山由紀夫幹事長の質問に答えた。

 

民主党にとって歴史をカードに安倍政権を攻撃するのはあまりに安易過ぎ
やしないか。安倍首相の誕生で我が国の右傾化が強まるなどと言うのは、
稚拙な話であって小泉政権下での拉致問題北朝鮮のミサイル乱射などと
安全保障の問題が国民にとって身近な話になってきたこともあり、今まで
無関心だった層が我が国の置かれた立場を徐々に理解しつつあることが、
右傾化であると言うのならお門違いである。

 

もちろん東京裁判を受諾したと言うのは、専門家からは異論が出ることで
あろうが、やはり東京裁判そのものを否定するのは現職の首相には難しい
注文である。和訳すれば確かに「裁判」ではなく「判決」を受諾し、講和
条約成立後も判決の結果を実行する義務が条文化されていた、と安倍首相
が公の場で言ったらどうなるであろうか。それを求めるのはあまりに酷で
はないか、踏み絵を迫る民主党のやり方にも疑問を感じざるを得ないが。