昨年大みそかの第57回NHK紅白歌合戦の視聴率は、総合テレビの関東
地区で第1部が30・6%、第2部が39・8%だった。調査会社ビデオ
リサーチが2日、発表した。午後7時20分からの第1部は1990年と
並び過去最低で、同9時半からの第2部も2004年の39・3%に次ぐ
低さ。紅白の視聴率は、大規模な番組宣伝を展開した1昨年にやや盛り返
したが、長期低落傾向には歯止めがかからなかった。

 

一部出演者の演出によって多数の抗議を招くと言うおまけがついたにして
も、紅白歌合戦の凋落は著しい。むろん公共放送なのだからいちいち視聴
率を気にせず、愚直に放送し続けるのも手であろうが、それなりの金を注
ぎ込んで作る以上は視聴率と言う結果が欲しいのかもしれない。だが家庭
の娯楽と言えばテレビであった時代はとうに過ぎてしまい、大晦日には家
族揃って紅白を観る家庭など珍しい方だろう。娯楽の多様性の前にはテレ
ビも一つの選択肢でしか無くなってしまったのだ。

 

紅白が生き残るための道はテレビを最も観る層に出演者を合わせた上で、
時間も絞り込んで行く他あるまい。視聴率はとれないにしても、紅白と言
う錆付いたブランドを生き残らせるためには縮小が最良の手段だ。公共放
送として民放のように派手な演出にばかり力を入れるのではなく、NHK
ならではの部分で攻めていく。民放の真似をしてしまってはそもそも勝て
るわけがないのだ。