中国の経済発展が加速するにつれ中国人の伝統宗教への回帰が顕著になっ
ていることが上海にある華東師範大学教授らの「当代中国人宗教信仰調査」
で裏付けられた。かつて共産主義イデオロギーによって「アヘン」と排斥
された宗教だが、市場経済の導入で厳しい競争社会が出現し、“神頼み”
的信仰が見直されたためとみられる。この調査は華東師範大学哲学科の劉
教授ら学者数十人と調査員数百人によって約3年間にわたって実施された。

 

この調査によって16歳以上の中国人の中で宗教を信仰する人は3割を超
え、単純計算で3億人以上にのぼっている。宗教が浸透していく中国の将
来を見据えてバチカンが国交のある台湾と断交し、中国と国交を樹立する
との見方もあり、中国のカトリック信者は政府が公認するだけで400万
人を数え、地下教会を含めれば1000万人を超えると言う。彼等がわず
かの寄付をするだけでもバチカンにとって大きな財源となる。

 

競争社会で荒みゆく中国人にとって最後に頼るのは、精神面を救ってくれ
る宗教であったと言うのは中国共産党にとって望ましい姿なのか、甚だ疑
問であるが、少なくとも誰にとっても良い社会ではないことの証明である。
我が国の創価学会も日中の国交正常化の「井戸を掘った」と豪語するが、
宗教をアヘンであると決め付けていた中国共産党には何も注文をつけなか
ったのであろうか。ここでも二重基準が見え隠れするのだ。