公立小学校の入学式で「君が代」のピアノ伴奏を求めた職務命令を拒否し、
懲戒処分を受けた東京都の女性音楽教諭が「伴奏命令は憲法が保障する思
想・良心の自由を侵害する」として東京都教育委員会の処分取り消しを求
めた訴訟で、最高裁第3小法廷は27日、原告側の上告を棄却した。国旗
・国歌の「強制」を巡る初の最高裁判決で「伴奏命令は思想・良心の自由
を侵害しない」として、職務命令を合憲と判断した。同種訴訟に影響を与
えそうだ。

 

この女性教諭が「君が代」がかつて大東亜戦争の際に、侵略の象徴となっ
たものであると言う歴史観を持つのは個人の自由である。だが女性教諭は
地方公務員であり、その職務を果たす義務を負っている。自由や自らの権
利ばかりを主張して、傍から見ればたかがピアノ伴奏が憲法の保障する思
想・良心の自由を侵害することであると主張するようなものか、と思うの
が普通ではなかろうか。そういった意味からも極めて当然の判決が下った
までであろう。

 

日の丸・君が代をめぐるほかの訴訟の弁護団は「あらゆる少数者の基本的
人権が認められないことになり、これまでの最高裁判例と大きく矛盾する」
と反発しているが、日の丸・君が代に反発するごく一部の教師達にとって、
この判決のもたらす影響は大きい。「学校が組織として国歌斉唱を行うこ
とを決めた以上、音楽教諭に伴奏させることは極めて合理的な選択。職務
上の義務として、伴奏させることも必要な措置として憲法上許される」こ
の判決内容を読めばそれは一目瞭然である。