第二次世界大戦中の中国人従軍慰安婦や中国人労働者らが国や企業に賠償
を求めた4件の戦後補償訴訟の上告審で、最高裁は27日午後、いずれも
原告側上告を退ける判決1件と決定3件を出した。同日午前の西松建設
訟の最高裁判決での「1972年の日中共同声明で個人の賠償請求権は放
棄された」との初判断を踏襲し4件とも請求を棄却、原告敗訴が確定した。

 

焦点となったのは日中共同宣言で個人の賠償請求権まで放棄されたか、に
尽きる。今回の判決で個人請求権まで放棄されたと判断したことで、一連
の戦後補償訴訟は事実上終止符が打たれたと言って良いだろう。日中共
宣言中の『中華人民共和国は、日中両国国民の友好のために、日本国に対
する戦争賠償の請求を放棄する。』の下りは非常に曖昧な文章であり、確
かにどうとでもとれるかもしれない。故に地裁や高裁、最高裁でそれぞれ
判断が分かれていたのであろう。

 

この判断は各メディアで賛否両論出てはいるが、中国外交部の劉建超報道
官は以下のように『日本の最高裁が「中日共同声明」に下した解釈は違法
であり、無効だ。われわれは日本政府に対し、中国側の懸念に真剣に対応
し、適切にこの問題を処理するようすでに要求している。』と強気の発言
をしている。中国メディアの取材に対してだったので弱腰と批判されるよ
うな発言が出来なかったこともあるだろう、だが判決の内容にまで口を出
すのは内政干渉もいいところだ。

 

むろん苦痛を受けた慰安婦及び強制的に働かされた労働者の方々へは深く
同情したい。だが裁判は情によって判決が変わってはならないのだ。そう
でなければむしろ我が国の司法は死んだと言っても過言ではないだろう。