塩崎恭久官房長官は7日午前の記者会見で、日本から諸外国への武器輸出
を禁じた武器輸出3原則を緩和する可能性について「そういうことはない。
武器輸出管理は武器輸出3原則がよって立つ平和国家としての基本理念を
考え、引き続き慎重に対処する方針を日本政府としては堅持する」と否定
的な考えを示した。同原則を巡っては、久間章生防衛相が米国での講演で
緩和の必要性に言及していた。

 

もともと佐藤首相の際に固まったもので、武器輸出3原則は共産圏諸国、
国連決議により武器等の輸出が禁止されている国、国際紛争の当事国又は
そのおそれのある国向けの場合を想定していたものだった。三木首相がさ
らに踏み込んだ形で、上記以外の地域への「武器」の輸出は慎むとし、歴
代首相も踏襲する形で事実上武器輸出は禁止となってきた経緯がある。

 

例外として中曽根内閣時に米国に対する武器技術供与を認める方針をとっ
たが、久間防衛相がワシントンで先日講演した際に3原則の緩和に向けた
本格的な検討を行う方針をぶち上げていた。塩崎官房長官はこれの火消し
に回った形で、今後も武器輸出3原則を堅持していくとしている。だが武
器の自主開発は非常に高くつき、他国に輸出することで元をとる国も多い。

 

むろん仮に米国、またはそれ以外の国と共同開発が出来るようになったと
しても、現在の自衛隊の情報漏洩の多発を見る限り、積極的に我が国と組
もうとするケースは少ないのではないか。政治的な問題よりも先に運用面
で解決しなければならず、実際のところは緩和を目指しても頓挫しかねな
いのが実態と言えそうだ。