麻生太郎外相は、昨年の自民党総裁選で掲げた政権構想に肉付けした著書
とてつもない日本」を近く出版する。安倍晋三首相の支え役に徹してい
る麻生氏だが、首相の「美しい国へ」の向こうを張ったタイトルで、「ポ
スト安倍」への意欲をにじませた形だ。麻生氏は「日本人のエネルギーは
とてつもない」という祖父吉田茂元首相の言葉をもとに本書を構想。逆説
的な表現を多用し、「日本の底力を見つめ直そう」と訴えている。

 

ポスト安倍を論じるにはまだ早いような気がするが、年齢を考えると麻生
外相が総理・総裁を狙えるチャンスは少ない。さらに安倍首相と同じくタ
カ派として見られている以上、安倍首相の後継として別路線を行くよりは
これまで通りの主張を打ち出すことで、「正統」な後継者であることを強
調したのだろう。不安があるとすれば弱小派閥故に、結局は大派閥と連携
をしなければ総裁選を戦えないと言うことだ。

 

そう言う面では同じ弱小派閥の谷垣派古賀派との統合を目指し動いてい
るように、町村派津島派の2大派閥に対抗する勢力が出来た際に麻生派
が動こうにも他の弱小派閥との統合は難しい。今は安倍首相の支え役に徹
した上で、参院選を乗り切った後の人事刷新で幹事長の座を狙いたいとこ
ろだろう。それが出来ればポスト安倍の最右翼として認知され、弱小派閥
出身と言う弱点もカバー出来るだろう。