安倍晋三首相の退陣表明に伴う自民党の後継総裁選びで福田康夫元官房長
官は13日、出馬の意向を固め、複数の党関係者に伝えた。アジア外交
どをめぐり安倍政権に批判的だった福田氏は派閥横断で支援を訴える方針
で、最大派閥の町村派は同氏支持で一本化し、古賀派山崎派谷垣派
どからも相当数が支援に回るとみられることから、党所属国会議員の過半
数の支持を得て一気に優位に立つ情勢となった。

 

昨年の総裁選の出馬が有力な候補は麻垣康三などと評されたものだが、そ
の際には「康」の福田氏は不出馬を決め、雪崩を打って安倍首相に票が集
まったのも記憶には新しい。1年も経たないうちに、自分が出馬する時が
やってこようとは、福田氏の胸中はいかなるものであろうか。当時の森派
から候補が2人出ては派閥が結果的に割れると見てとった福田氏が、昨年
の総裁選には出馬しなかったのは正解であったろう。何より大敗では無い
にせよ、参院選の敗北が見えていたこともあるはずだ。

 

津島派からは額賀氏、麻生派からは麻生氏が出馬するとされ、三つ巴の戦
いが予想されるが最大派閥を一本化した福田氏が優位な状況と見られる。
安倍首相の次を狙っていた麻生氏も、突然の辞任の前に目算が大きく狂わ
された格好で、自身が弱小派閥出身だけに額賀氏と2・3位連合でも組ま
ないと総裁への道は覚束ない。政治的空白が生じているだけに、一刻も早
く総裁を選出することが望ましい。