安倍晋三首相の辞任表明を受け、自民党は15日午前、党本部で総裁選の
立候補者受付を行い、福田康夫官房長官麻生太郎幹事長の2人が立候
補を届け出た。16日から東京、大阪、香川、宮城の4都府県で両氏の街
頭演説会を行うなど23日の投開票日まで、総裁の座をめぐる激しい舌戦
が繰り広げられる。

 

雪崩を打って自民党の各派閥が福田氏支持を打ち出したことによって、新
聞各紙の一面は「事実上、福田総裁決定」との見出しが躍っていた。だが
本当にこの流れで良いのか、福田氏の政策やビジョンを聞く前から勝ち馬
の尻に乗るような、安倍首相が総裁に選ばれた際と同様のことが起きてい
るのは間違いない。福田氏なら大丈夫とした根拠はいったい何なのか、結
局は密室でする談合人事と一緒ではないのか。

 

麻生氏としても安倍首相からの禅譲、と言う形でポスト安倍を狙っていた
だけに、辞任のタイミングがあまりに悪過ぎた。弱小派閥の麻生派にとっ
て最大派閥の町村派と組むことで、他派閥を取り込むことが可能だったは
ずだが、町村派から福田氏が出馬することになった以上、勝負は決まった
と見て良いだろう。ただ、福田氏もショートリリーフの感が否めず、麻生
氏は虎視眈々と次を狙っているのではなかろうか。