政府は30日、10月13日で期限が切れる北朝鮮籍船舶の入港や輸入の
禁止など日本独自の制裁措置について、さらに延長する方針を決めた。福
田康夫首相は対北朝鮮政策で「対話」の必要性を打ち出しているが、日本
が最重視する拉致問題で進展が見られないことから、制裁措置自体は当面
続ける必要があると判断した。延長期間はこれまでの「半年間」を軸に調
整するとみられる。

 

自身の政権での拉致問題の解決を打ち出した福田首相にとって、これまで
の圧力重視の姿勢をどう変えていくのかが問題であった。誠実な対応をし
ない北朝鮮を前に対話をしようにも、のらりくらりと時間稼ぎをされるだ
けであろうし、拉致問題は解決済みであるとの主張を変えることは無く、
福田政権も進展が無い以上はこちらからは妥協をしないと決めたようだ。
拉致問題の解決を福田首相が打ち出した際、拉致問題を置いておき国交正
常化に持ち込むのではとの懸念は一応払拭されたことになる。

 

北朝鮮の狙いは米国との関係改善であり、テロ指定国家の解除が念頭にあ
ることは間違いない。それが達成されないことには、核施設の無能力化を
したところで損をするだけだ。米国がテロ指定国家の解除の条件として拉
致問題の全面的な解決を条件とするならば、北朝鮮もカードを切ってくる
可能性がある。それまでは我が国は圧力路線を維持しつつ、6カ国協議
成り行きを見守るほかはあるまい。