ガソリンにかかる揮発油税地方道路税暫定税率を維持するため、福田
康夫首相ら政府・与党幹部が「地球温暖化対策」をことさらに強調してい
る。暫定税率の期限が切れる3月末までに税制改正関連法案が成立しなけ
れば、ガソリン価格が1リットルあたり25円下がり、車の利用が増えて
二酸化炭素排出量も増加するという論法。7月には北海道洞爺湖サミット
を控えるだけに地球環境を「錦の御旗」としたい思惑だが、野党は「論理
のすりかえ」と反発している。

 

環境問題を持ち出すことで暫定税率を維持しようと言う論法は、いささか
稚拙過ぎるのではないか。確かに環境問題は一種の聖域と化しつつあるの
が現状であるが、25円下げたことによって何倍も車の利用が増えるとは
到底思えない。錦の御旗を掲げて正面突破しようにも、そのような論法で
は打ち破られるのが当然であろう。ただ、民主党内も暫定税率の維持が望
ましいと考えている勢力があれば、これ幸いとして環境問題を理由に賛成
に転じる可能性もないわけではない。環境をとるか、減税をとるかで2択
に持ち込めれば福田政権の思惑は成功するかもしれない、が。