マイクロソフトが1日、ヤフーへの買収に乗り出した背景には、急成長す
るグーグルと距離が開いていくのではないかとの焦燥感がある。IT企業
の主戦場がネットサービスに移行する中で、基本ソフトや業務用ソフトが
主軸のMSは低迷を続けており、事態打開のために勝負手を打たざるを得
なくなったかたちだ。世界のIT市場の覇権を左右する買収がなるか。ヤ
フー側の反応が次の焦点になる。MSはこの日の電話会見で、スティー
・バルマー最高経営責任者らが「提案は株主にとって魅力的なものだ。消
費者や広告主、コンテンツ制作者に、大きな利益をもたらす」と述べた。
MSは1月31日付でヤフーの経営陣に送った買収提案の文書で、買収に
よって、研究開発費やコスト削減などによる相乗効果が見込めるとして、
両社の「連合」の意義を強調。買収効果を約10億ドルと試算する。

 

我が国では検索エンジンと言えばグーグルとヤフーで二分されていると見
て良いが、米国ではグーグルが圧倒的に強く、マイクロソフトのMSNは
弱小勢力であると言っても過言では無い。MSNがヤフーと一緒になった
ところで、第二勢力は形成出来るが、シェアと言う意味合いでは及ばない。
かつてIT市場を制していたマイクロソフトにとって、グーグルの快進撃
を座して見ているわけにもいかなくなったのであろう。ヤフーも減益のた
め従業員の約7%にあたる1000人を削減して収益力強化を目指すとし
ているが、グーグルの背中はあまりにも遠い。伸び悩むヤフーがマイクロ
ソフトの提案を受け入れるかは、経営陣の判断と言えそうだが、企業文化
に違いのある企業同士がくっついたところで、なかなかその効果を発揮出
来るわけでもなかろう。拡大するネット広告市場をグーグルに牛耳られる
のだけは避けたい両社が合従連衡するのか、注目したいところだ。